妊娠するためには、卵子と精子が受精能(受精する能力)を持っているうちに出会う必要があります。
まずは、それぞれの生存期間(寿命)と受精能を持つ時間について見てみましょう。
卵子の生存期間と受精能
卵子はLHサージ後16~24時間後に排卵されます。
排卵後の生存期間は24時間
受精能は12時間程度
精子の生存期間と受精能
精子は射精直後は運動性に乏しく、精漿がない状態で一定時間経つと運動性が増し、受精能を獲得します。
生存期間は72時間
受精能は48時間程度
どちらも受精能は短いですね。
特に卵子の受精能は12時間程度しかありません。
では、受精の可能性を高めるにはどうしたら良いでしょうか?
受精の可能性を高めるには
受精の場になるのは卵管膨大部です。
この卵管膨大部で精子と卵子がお互いに受精能を持っている間に出会うためには、
寿命も受精能も長い精子が先に来て待ち構えている状態にしたいです。
そのためには、どのタイミングで夫婦生活を持つと良いでしょうか?
実際、医療機関によってもタイミングの指導がバラバラなケースがあります。
妊娠の可能性の高いタイミング
1995年に英国で発表された研究結果がありました。
221人の月経周期が正常な成人女性を対象に、708回の月経周期を調査し、192回(27.1%)に妊娠が成立しました。
この研究期間中は排卵を意識せず、自由に夫婦生活を持ってもらい、ホルモン検査・基礎体温などで排卵日を確認しました。
その結果から、排卵日、排卵前日、排卵2日前の3日間が突出して妊娠率が高く、排卵翌日以降は妊娠成立はゼロでした。
(上記3日間のうち、一番妊娠率が高いのは排卵2日前です。)
この研究結果から、妊娠可能時期の性交回数と妊娠率を比較すると
性交回数 | 妊娠率 |
毎日 | 37% |
1日おき | 33% |
期間内に1回 | 15% |
このデータから、
排卵2日前から毎日夫婦生活を持つことが、一番自然妊娠しやすい方法になります。
ですが、
・体力的に難しい
・仕事で時間を取ることが難しい
・毎日射精することができない
など、夫婦ごとに問題を抱えている場合も多いです。
毎日が難しければ、せめて1日おきに夫婦生活を行って頂くことを推奨します。
排卵予測するには基礎体温の測定が大事
排卵を予測する方法は複数あります。
卵胞発育を直接評価して予測する方法(病院・クリニックでのみ可能)
・卵胞モニタリング
・血中E2(エストラジオール)測定
間接的に排卵を予測する方法
・基礎体温
・尿中・血中LH測定(一般には排卵検査キット)
・頸管粘液検査
病院・クリニックで卵胞チェックを受けているのであれば、
医師が排卵日の予想を教えてくれるので、
その排卵予想日の前から複数回タイミングを取ることが重要です。
病院・クリニックでの治療を受けていない方は、
基礎体温表から排卵日を予想して、排卵予想日の2日以上前から毎日タイミングを取るのが理想です。
排卵チェッカーや頸管粘液の状態も参考にするとより確度が増します。
自然妊娠を希望されるご夫婦は参考にしてみて下さいね。
記事を書いている人 平田泰之
富山県黒部市で不妊症をはじめ、生理痛・妊娠・出産後のケアなど女性のライフサイクルに関わる身体の悩みを40年間専門にしているひらた資生堂薬局の二代目。ひらた鍼灸治療院院長。
薬剤師・鍼灸師・コウノトリ鍼灸師・ONP認定栄養カウンセラー・睡眠健康指導士上級・婦人科セラピー協会会員・日本生殖医学会会員・日本不妊カウンセリング学会会員
ひらた資生堂薬局は皆様のおかげ様で
全国実力薬局100選 漢方相談部門・不妊子宝部門
両部門で北陸で唯一7年連続受賞中