子宮筋腫は子宮筋層に発生する良性腫瘍で、
発生・増大にエストロゲンが関係するエストロゲン依存性疾患です。
筋腫のできる部位によって粘膜下筋腫・筋層内筋腫・漿膜化筋腫の3つに分類されます。
子宮筋腫の特徴
- 30~40歳代の女性に好発
- 約半数は無症状
- 過多月経・過長月経・不正子宮出血・月経痛などが主な症状
- 鉄欠乏性貧血・不妊症・不育症の原因にもなります
- 子宮筋腫の60~70%は多発性
- 約20%の子宮筋腫に子宮内膜症が合併
- 子宮筋腫と子宮腺筋症は高頻度に合併します
子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症、これらすべてエストロゲン依存性疾患
子宮筋腫の分類
1、粘膜下筋腫
筋腫が子宮内膜直下に発生し、子宮腔内に向けて発育します。
この分類の中で、一番妊娠に影響するのは粘膜下筋腫と考えられています。
2、筋層内筋腫
筋腫が子宮筋層内に発生、発育します。
子宮内腔の変形がある場合は妊孕能(妊娠する力)に影響します。
3、漿膜下筋腫
筋腫が子宮漿膜の直下に発生・発育します。
筋腫が大きく発育すると、周辺の臓器を圧迫することがあります。
粘膜下筋腫の妊娠への影響
子宮筋腫による子宮腔内圧迫と血流障害によって、
精子の輸送能や受精卵の着床障害を引き起こすことで、
不妊や流産の原因になると考えられています。
子宮粘膜下筋腫があることで、1.68~3.35倍自然流産のリスクが高かったというデータがあります。
漢方の考え方
子宮筋腫があると瘀血(おけつ)という血流が悪い状態と考えます。
病院で瘀血を改善する目的で使われる代表的な処方としては、
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が有名です。
(瘀血に使う漢方は、実はたくさんあります)
事実、瘀血対策の漢方で筋腫が小さくなることはよくあります。
そういった意味では、漢方も有効と言えます。
まとめ
先に述べた通り、漢方で筋腫が小さくなることはよくあります。
ですが、漢方だけで子宮筋腫など、
エストロゲン依存性疾患の根本からの改善は難しいケースが多いです。
食生活の改善はもちろん重要になりますし、
高温期の体温も実は重要になってきます。
「なぜ、エストロゲン依存性疾患の症状が進むのか?」
「どうしたら、その進行を抑え、症状が軽くなるのか?」
この2点を考える上で、基礎体温を継続的に測定することが重要になってきます。
記事を書いている人 平田泰之
富山県黒部市で不妊症をはじめ、生理痛・妊娠・出産後のケアなど女性のライフサイクルに関わる身体の悩みを40年間専門にしているひらた資生堂薬局の二代目。ひらた鍼灸治療院院長。
薬剤師・鍼灸師・コウノトリ鍼灸師・ONP認定栄養カウンセラー・睡眠健康指導士上級・婦人科セラピー協会会員・日本生殖医学会会員・日本不妊カウンセリング学会会員
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