そもそも貧血ってなに?
貧血とは、「全赤血球量、ヘモグロビン量の減少のこと」
症状であり、診断名ではありません。
なぜ貧血症状が出ているのかが重要です。
貧血の原因で多いのが、鉄の摂取が不足していること。
赤血球の中には鉄が必要で、全身の体内鉄のうち約75%はヘモグロビンなど赤血球に含まれています。
鉄の収支
生理がない人でも、1日1mg(30mg/月)は排泄される。
生理がある人は、+αがあるわけで、60mg/月(1日平均で2mg/日)排泄されると考えられます。
対して、1日の食事中には10~15mgの鉄が含まれ、そのうちの1mg/日しか吸収されません。
生理のない人で 摂取量=排泄量
生理のある人は 摂取量<排泄量
生理のある人は意図的に鉄を補わないと慢性的な鉄不足になります。
鉄不足で起こりやすい症状
①粘膜や皮膚の萎縮と機能の低下
②神経症状
③運動機能の障害
④心臓の負荷が増えることで心肥大
⑤月経異常、妊娠の維持や分娩に支障をきたす
⑥小児では、知能の発達低下、身体発育の低下、情緒不安定、注意力散漫
⑦感染症に罹りやすくなる(細胞性免疫の機能低下)
⑧寒がり(甲状腺機能低下とも関係)
⑨溶血傾向(赤血球が壊れやすくなる)
⑩フリーラジカル障害、過酸化脂質の増加
⑪コラーゲンの形成不全
⑫認知能力の低下
などが挙げられます。
鉄欠乏の目安
一般的な貧血の診断では、Hb(ヘモグロビン)<12 g/dl
とされており、病院の診断では貧血と言われていない方が非常に多いです。
ですが、貧血と診断されていないけれど、不定愁訴などの症状があるケースは多いです。(漢方でいう「血虚(けっきょ)」の状態)
Hb>12 g/dl でも、フェリチン<80 ng/ml になると潜在的鉄欠乏の状態と言われ、不定愁訴の症状が出ることが多いと言われています。(フェリチン値<30 ng/ml になると、鉄欠乏性貧血と同程度の症状に感じるそうです
病院では貧血と診断されていないけれど、「疲れやすい」「風邪をひき易い」「体調が優れない」などと感じている方は、ご自分の健康診断の血液検査データなど見てみて下さいね。
貧血を改善するには
基本的には鉄の補充が必要です。
食事で摂ることも重要ですし、不足する分は漢方薬やサプリメントで摂取することが基本となります。
鉄にも無機鉄・ヘム鉄・キレート鉄があり、それぞれ吸収するルートも異なり、気を付けるべきことも変わります。(改めてまとめますね)
(注意!)
貧血の原因が何かによってアプローチが変わることがあります。
体内で出血がある場合は、まずは出血を止めないといけません。(病院での治療が必要です)
炎症がある場合は、炎症を改善することも考えなければなりません。(内膜症、チョコレート嚢胞、子宮腺筋症なども炎症を伴います)
鉄の吸収を行う小腸の状態の改善も必要なケースもあります。
「貧血だから鉄剤を」の前に、「なぜ貧血が起こっているのか」も考える必要があることも気に留めておいて頂きたいです。
記事を書いている人 平田泰之
富山県黒部市で不妊症をはじめ、生理痛・妊娠・出産後のケアなど女性のライフサイクルに関わる身体の悩みを40年間専門にしているひらた資生堂薬局の二代目。ひらた鍼灸治療院院長。
薬剤師・鍼灸師・コウノトリ鍼灸師・ONP認定栄養カウンセラー・睡眠健康指導士上級・婦人科セラピー協会会員・日本生殖医学会会員・日本不妊カウンセリング学会会員
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